今回は昨年読んだ小説の紹介です
とてもきれいな小説なので気になる方はぜひ読んでみてください
あらすじ
ひとり暮らしをしていた海野雫は医師から余命宣告を受ける
最後の日々を過ごす場所として瀬戸内の海が見えるホスピス「ライオンの家」を選んだ雫と仲間たちの命の輝き、出会いの素晴らしさを描いた物語
生との向き合い方
僕がこの小説で一番感じたのは「生との向き合い方」です
余命宣告を受けた主人公が様々な葛藤を経て
様々な人との出会いを通じ、自身の「生」、また他人の「生」と向き合う姿に色んなことを考えられます
僕は理学療法士として医療現場に立っています
特に訪問看護に勤めていた頃は、ターミナルケアにも多く立ち会いました
ターミナルケアとは簡単にいうと余命が僅かな人に対するケアです
残りの人生を如何にその人らしく生きることが出来るか
やりたいことを心残りなく過ごすことができ、その人らしく生きていくことをサポートしていく時期です
でも実際には余命が僅かな人は、自分の意思をハッキリと伝えることが出来ない人が多いです
僕は今でも心残りに思っていることがあります
それはターミナルケアで担当していた患者さんのご家族が桜を見せたいと希望され
車椅子に移乗し、桜の木の下まで一緒に行ったことがありました
ご家族はとても喜ばれ、僕もその時は桜を見せることが出来てよかったと喜びを感じていました
その方はそれから1ヶ月程して亡くなられました
亡くなったあとに徐々に込み上げてきた思いがありました、それは
本当に患者さんが望んでいたことは何だったのかです
確かに桜を見せたいご家族の気持ちはとても大切です、ただ患者さん本人が本当に望んでいたことはわかりません
本当の最期に自分の意思を伝えられない、最期にしたいことを言い残せていないことは本当に辛いことなのではないかと思うようになりました
主人公の雫は自分の最期を探しながら生きていきます
若くして亡くなることは不幸なことかもしれません、ただ自分の「死に方」を選ぶこと、自分の「生」としっかりと向き合う事ができたことは幸せだったのかもと思います
死を実感すること
ただ僕の独断と偏見ですが、生と向き合うのは非常に難しいと思います
それは今生きていることが当たり前になっているからです
今日寝たら明日はもう死んでいるかもしれないと生きている人は殆どいません
それは死を実感していないからです
僕もそうです
自分の中にリアルに死を感じない限り、本当の意味で生と向き合うことは出来ません
この小説には生と向き合う、人々が描かれています
最期を自分らしく生きていくことの意味を感じさせてくれます
小説の中の人物と自分を重ね合わせながら、自分ならどうするかを考えさせてくれました
テーマは重いですが、比較的読みやすい小説となっています
ぜひ皆さんに読んでいただきたい一冊です
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